
外壁塗装工事において、シーリング工事(コーキング工事)は塗装と同等、あるいはそれ以上に重要な役割を担います。
特にサイディングボード外壁やALC外壁では、建物の防水性能の多くをシーリングが担っています。
本記事では、シーリング工事について
**「工事の流れ」「種類」「打ち替え・増し打ち」「2面接着・3面接着」**を
専門用語を交えて学術的に解説します。
1. シーリング工事とは何か(定義)
**シーリング(Sealing)**とは、
外壁材同士の継ぎ目(目地)や、異素材の取り合い部に
弾性を持つ充填材(シーリング材)を施工し、水密性・気密性を確保する工事です。
主な役割
- 雨水の侵入防止(防水性能)
- 外壁材の動き(熱伸縮・地震)への追従
- 下地・躯体の保護
👉 塗膜は「表面保護」、
👉 シーリングは「構造的防水要素」と位置づけられます。
2. サイディングボード・ALCとシーリングの関係
サイディングボード外壁
- パネル同士の縦・横目地が多い
- シーリングの劣化=雨水侵入リスク直結
ALC外壁
- パネル間の目地が非常に多い
- 防水性能をシーリングに大きく依存する構造
そのため両外壁では、
**「塗装よりも先に、正しいシーリング工事が行われているか」**が極めて重要です。
3. シーリング工事の基本的な流れ
① 既存シーリング材の撤去(打ち替えの場合)
- 劣化した既存材を完全撤去
- 撤去不良は早期破断の原因になる
② 清掃・下地調整
- 目地内部のゴミ・粉塵除去
- 接着阻害因子の除去
③ プライマー塗布
- 接着促進剤
- 下地とシーリング材の密着性を確保
④ ボンドブレーカー設置(必要に応じて)
- 3面接着防止のための重要工程
⑤ シーリング材充填
- 適正断面・適正量の充填
⑥ ヘラ押さえ・仕上げ
- 表面成形
- 空気混入の防止
4. シーリング材の種類(材料学的視点)
主なシーリング材
- 変成シリコン系
- 塗装可
- 現在の主流
- ウレタン系
- 密着性が高い
- 紫外線に弱い
- シリコン系 絶対NG ホームセンターでお客様がよくこれを買って外壁補修していますが密着不良の原因になります
- 耐候性は高いが塗装不可
👉 外壁改修では変成シリコン系が標準とされます。
5. 打ち替えと増し打ちの違い
打ち替え(推奨)
- 既存シーリングを完全撤去
- 新規に充填
メリット
- 耐久性が最も高い
- 内部劣化をリセットできる
増し打ち(ALCで採用されるケースあり)
- 既存材を撤去せず、上から充填
採用理由
- ALC目地が深く、撤去困難な場合
- 躯体保護を優先する場合
注意点
- 密着不良のリスク
- 施工判断には経験が必要
👉 「ALC=必ず増し打ち」ではない。ほとんどが増し打ちするケースが大半。
👉 現地状況判断が必須
6. 2面接着と3面接着(最重要理論)
2面接着(正解)
- 左右の外壁材に接着
- 底面には接着させない
効果
- シーリング材が伸縮に追従
- 応力分散が可能
3面接着(NG)
- 左右+底面に接着
問題点
- 伸縮できず、中央破断を起こす
- 耐久性が著しく低下
なぜ3面接着はダメなのか(学術的説明)
- シーリング材は引張応力を吸収する設計
- 3面接着では応力集中が起こる
- 結果として早期破断・剥離につながる
👉 ボンドブレーカーは構造的に必須部材
7. シーリング工事の良し悪しが建物寿命を左右する
- 塗料は「選び直し」ができる
- シーリング不良は「躯体劣化」に直結
つまり、
見えない部分ほど、専門知識と施工精度が重要です。
まとめ
サイディングボード・ALC外壁におけるシーリング工事は、
- 防水性能の要
- 建物の動きに追従する構造部材
- 正しい理論と施工が不可欠
です。
「塗料のグレード」だけでなく、
「シーリング工事の考え方」を説明できる業者かどうかが、
外壁改修の成功を大きく左右します。

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施工上の注意は乾かないのでしっかり乾燥させることが大事です。