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シーリング工事とは?

シーリング工事(コーキング工事とも呼ばれる)は、建物の防水性や気密性を高めるために重要な工事の一つです。シーリング材を建物の接合部や隙間に充填することで、水の浸入を防ぎ、建物の劣化を防止します。特に、外壁や窓、サッシ周りなどの防水が必要な箇所で重要な役割を果たします。

1. シーリング工事の役割

シーリングは、建物の接合部に設置されるため、建物の寿命に大きな影響を与えます。主な役割は以下の通りです。

  • 防水性: 雨水や湿気が建物内部に侵入するのを防ぎます。これにより、建物の劣化やカビの発生を防ぐことができます。
  • 気密性: 隙間からの空気の流入を防ぎ、断熱効果を高め、建物のエネルギー効率を向上させます。
  • 耐震性: 建物の動きに合わせてシーリング材が柔軟に変形し、亀裂や損傷を防ぎます。

2. 先打ち・後打ちの違い

シーリング工事には「先打ち」と「後打ち」という2つの方法があります。これらは、シーリング材をどのタイミングで充填するかによって異なり、それぞれの方法にはメリットとデメリットがあります。

2.1 先打ち(さきうち)とは?

先打ちは、建物の外壁に仕上げ材を施工する前に、シーリングを行う方法です。つまり、外壁の仕上げやタイルが張られる前に、シーリング材を充填します。

メリット

  • 施工の精度が高い: シーリング材が露出しないため、直接的な外部からの劣化を防ぎやすくなります。
  • 仕上がりが美しい: 外壁のタイルや仕上げ材でシーリングが隠れるため、美観が良くなります。
  • 防水性の向上: 施工精度が高く、防水効果が長持ちします。

デメリット

  • 施工に時間がかかる: 外壁施工前に行うため、工期が長くなることがあります。
  • 補修が難しい: 一度施工された後、シーリング部分が隠れるため、将来的な補修や点検が難しくなります。

2.2 後打ち(あとうち)とは?

後打ちは、外壁の仕上げ材を施工した後にシーリングを行う方法です。多くのリフォーム工事やメンテナンスで使用される方法です。

メリット

  • 施工が容易: 外壁の仕上げ材の上からシーリング材を充填するため、施工が比較的簡単です。
  • 補修がしやすい: 外壁材の上から施工するため、将来的なメンテナンスや補修が容易です。

デメリット

  • 耐久性が劣る: 外壁の仕上げ材に直接露出しているため、紫外線や風雨の影響を受けやすく、劣化が早い場合があります。
  • 見た目に影響: 外壁材の上にシーリング材が見えるため、美観が損なわれることがあります。

3. シーリング工事の流れ

シーリング工事の流れは、建物の構造や状況によって異なる場合がありますが、一般的な工程は以下の通りです。

3.1 足場の設置

シーリング工事を行う際、特に外壁の高所での作業には足場が必要です。安全性を確保するために、まず足場を設置します。

3.2 既存シーリング材の撤去

古くなったシーリング材は劣化しているため、新しいシーリング材を充填する前に、既存のシーリング材をしっかりと撤去します。この作業が不十分だと、新しいシーリング材の密着性が悪くなり、耐久性が低下します。

3.3 マスキングテープの貼付

シーリングを行う箇所の周囲にマスキングテープを貼ることで、作業中に余分なシーリング材が広がるのを防ぎます。また、綺麗な仕上がりを確保するためにも重要です。

3.4 プライマーの塗布

シーリング材がしっかりと接着するように、接着面にプライマーを塗布します。プライマーはシーリング材と外壁材をしっかりと接着させる役割を果たします。

3.5 シーリング材の充填

シーリングガンを使って、隙間にシーリング材を充填します。シーリング材は乾燥すると硬化し、弾力性を持ちながら隙間をしっかりと埋めます。

3.6 仕上げ

充填後、ヘラを使ってシーリング材を均等にならし、綺麗な仕上がりにします。シーリング材が乾燥して硬化するまで、十分な時間を取ります。

3.7 マスキングテープの撤去

シーリング材が乾燥する前に、マスキングテープを慎重に剥がします。これにより、仕上がりが美しく、シーリング材がはみ出るのを防ぎます。


4. シーリング材の種類

シーリング材にはさまざまな種類があり、それぞれの特性に応じて使い分けます。以下は、一般的に使用されるシーリング材の主な種類です。

4.1 ウレタン系シーリング材

ウレタン系のシーリング材は、柔軟性があり、建物の動きに対して追従性が高いのが特徴です。主に外壁やサッシ周りに使用されますが、紫外線に弱いため、表面に塗装を施す必要があります。

4.2 シリコン系シーリング材

シリコン系のシーリング材は、耐候性や耐久性に優れており、紫外線や水分に強いため、外壁や屋根などでよく使用されます。ただし、塗装が困難なため、塗装をする箇所には向いていません。

4.3 ポリサルファイド系シーリング材

ポリサルファイド系のシーリング材は、耐久性が非常に高く、耐薬品性にも優れています。そのため、外壁や地下室など、特に防水性能が求められる箇所に使用されます。

4.4 アクリル系シーリング材

アクリル系シーリング材は、コストが低く、施工が容易ですが、耐久性が他のシーリング材に比べて劣ります。主に内装工事や仮設工事で使用されることが多いです。


5. 主要シーリング材メーカー

シーリング材を製造している主要なメーカーは、以下の通りです。

5.1 住友化学

住友化学は、高品質なシーリング材を提供しており、特にウレタン系シーリング材で知られています。

5.2 信越化学工業

信越化学は、シリコン系シーリング材のリーディングメーカーであり、耐候性や耐久性に優れた製品を取り扱っています。

5.3 コニシ株式会社

コニシ株式会社は、一般的に「ボンド」で知られるメーカーですが、シーリング材も幅広く取り扱っています。

5.4 太陽シール工業株式会社

太陽シールは、耐久性や防水性に優れたシーリング材を製造しており、特に建築分野で高い評価を受けています。


6. シーリング工事の工期とタイミング

6.1 工事期間

シーリング工事の工期は、建物の規模や施工箇所によって異なりますが、一般的な戸建て住宅の場合、外壁のシーリング工事には約1週間〜10日程度かかります。作業工程や天候によっても変動するため、予め余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

6.2 シーリング工事のタイミング

シーリング工事を行う適切なタイミングは、以下のような兆候が見られた場合です。

  • シーリング材のひび割れ: 経年劣化によってシーリング材がひび割れている場合、早めの補修が必要です。
  • 剥離や変色: シーリング材が剥がれたり変色している場合、劣化が進行しているサインです。
  • 防水性能の低下: 雨漏りなどが発生している場合、シーリング材が劣化して防水性能が失われている可能性があります。

シーリング材の耐用年数は10〜15年程度が一般的ですが、定期的な点検を行い、劣化が見られた場合は早めに工事を行うことが重要です。

1. サイディング外壁

サイディング外壁は、住宅の外壁に多く使われている素材で、ボード同士の目地にシーリング材を充填することで防水性を確保します。

推奨シーリング材の種類

  • 変成シリコン系シーリング材 変成シリコン系は、耐久性と柔軟性のバランスが良く、外壁塗装も可能です。また、耐候性や耐紫外線性に優れているため、サイディング外壁に適しています。

推奨商品

  • オート化学工業「オートンイクシード」
    変成シリコン系シーリング材で、耐候性に優れており、特に長寿命なシーリング材として評価されています。外壁塗装との相性も良く、10~15年の耐久性があります。
  • コニシ「ボンドMSシール」
    変成シリコン系で、柔軟性があり、ひび割れにも強い製品です。塗装が可能で、幅広い用途に使えます。

2. モルタル外壁

モルタル外壁は、外壁材にモルタル(砂とセメントの混合物)を使ったもので、一般的には目地部分にシーリングを施します。

推奨シーリング材の種類

  • ポリウレタン系シーリング材 ポリウレタン系シーリング材は、モルタルの動きに柔軟に追従し、強力な接着力を発揮します。また、塗装との密着性が良く、モルタル外壁に適しています。

推奨商品

  • 信越化学「シリコーンシーラント」
    ポリウレタン系シーリング材で、柔軟性に優れ、モルタル外壁のひび割れに追従しやすい特徴があります。
  • 住友化学「プライマー1000」
    モルタル外壁に適したシーリング材で、塗装との相性も良いです。高い耐久性を誇り、外壁リフォームの際によく使用されます。

3. ALC(軽量気泡コンクリート)外壁

ALCは、軽量で耐火性が高い建材ですが、吸水性が高いためシーリング材による防水が重要です。

推奨シーリング材の種類

  • 変成シリコン系シーリング材
    ALCは微妙な動きを吸収するため、柔軟性が必要です。また、外壁全体の塗装を行うことが多いため、塗装可能なシーリング材が求められます。

推奨商品

  • オート化学工業「オートンサイディングシーラント」
    変成シリコン系で、ALC外壁にも対応しています。耐候性が高く、外壁塗装にも対応しているため、ALCの防水性を長期的に保持します。
  • セメダイン「ハイクシーラント」
    高い柔軟性と接着力を持ち、ALCの動きに追従します。塗装適性があるため、外壁全体の仕上がりを損なわないよう施工可能です。

4. タイル外壁

タイル外壁は、耐久性やデザイン性に優れた外壁材ですが、目地部分のシーリングが重要です。

推奨シーリング材の種類

  • ポリサルファイド系シーリング材 タイルは剥離のリスクがあるため、柔軟性に優れ、耐久性の高いポリサルファイド系シーリング材が適しています。特に、目地部分での防水性が求められます。

推奨商品

  • 太陽シール「サルファードシーラント」
    高い耐候性と耐久性を持ち、タイルの動きにも対応できる柔軟性を備えています。耐水性も高く、タイル外壁に最適です。
  • 横浜ゴム「ハイシーラントPS」
    ポリサルファイド系で、耐久性と防水性に優れており、タイル目地での使用に適しています。

5. コンクリート外壁

コンクリート外壁は堅牢で耐久性が高いものの、コンクリート自体のひび割れが生じることがあり、シーリングによる補強が重要です。

推奨シーリング材の種類

  • ポリウレタン系シーリング材 コンクリートの動きに追従し、しっかりと接着できるポリウレタン系が一般的です。防水性と耐久性に優れ、コンクリート外壁のシーリングに適しています。

推奨商品

  • セメダイン「ポリウレタンシール335」
    コンクリート外壁向けのシーリング材で、柔軟性と高い接着力を持ち、ひび割れ防止に最適です。
  • 旭化成「エポキシウレタンシール」
    高強度のポリウレタンシーリング材で、コンクリート外壁に対して長期間の防水性を発揮します。

シーリング材選びのポイント

  1. 柔軟性と耐候性
    外壁材は温度変化や湿度の変動に伴って微妙に動きます。そのため、シーリング材にはこれらの変動に追従できる柔軟性が求められます。また、耐候性が高いシーリング材を選ぶことで、紫外線や雨風による劣化を防ぐことが重要です。
  2. 塗装の有無
    塗装が必要な外壁材の場合、塗装可能なシーリング材を選択する必要があります。シリコン系シーリング材は塗装ができないことが多いので、注意が必要です。
  3. 施工環境に合わせる
    シーリング材の性能は施工する場所の環境にも大きく影響されます。たとえば、海沿いの地域では塩害に強いシーリング材が必要ですし、寒冷地では低温に強いシーリング材が推奨されます。

まとめ

シーリング工事は、建物の防水性や耐久性を維持するために欠かせない工事です。先打ちと後打ちの違いや、シーリング材の種類、施工の流れ、そして適切な工事のタイミングを理解することで、建物の長寿命化を図ることができます。信頼できるシーリング材メーカーの製品を使用し、プロの施工業者に依頼することが成功の鍵です。

最後に、シーリング工事は定期的なメンテナンスが重要ですので、建物の状態を確認し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。

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