
塗料と塗装の基礎
― 知ってから塗ると、家はもっと長持ちします ―
現場でお客様とお話ししていると、
「塗料って、正直どれも同じじゃないの?」
「高い塗料を塗れば長持ちするんでしょ?」
という声をよく耳にします。
実は塗料というのは、
“何を・どこに・どう塗るか”を理解して初めて意味を持つものです。
今回は、
・塗料の役割
・塗料が何からできているのか
・塗り始める前に知っておきたい基本
を、専門用語をできるだけかみ砕いてお話しします。
塗料の役割と効用とは何か
私たちの身の回りを見渡すと、
鉄、アルミ、コンクリート、木、プラスチック…。
ほとんどの物に「塗料」が使われています。
塗料の本当の役割は、
表面に薄い膜をつくることです。
この膜が、物の寿命を左右します。
① 物を保護する
塗料は乾くと、目には見えにくいですが、
丈夫な保護膜をつくります。
- 雨
- 紫外線
- 塩分
- 排気ガス
こうした劣化要因から素材を守り、
結果として「長持ち」させます。
② 物を美しくする
色やツヤ、質感を整えることで、
住まい全体の印象が大きく変わります。
美しさは見た目だけでなく、
気持ちよく暮らすための要素でもあります。
③ 特別な性能を与える
最近の塗料は、
- 防カビ
- 防サビ
- 遮熱
- 耐熱
といった機能を持たせることができます。
塗料は「色をつけるもの」ではなく、
機能を追加する材料でもあるのです。
塗料は何からできているのか
塗料は液体ですが、
乾燥後に残るものと消えるものに分かれます。
膜として残るもの
- 顔料
- 樹脂
- 添加剤
揮発して消えるもの
- 有機溶剤
- 水
顔料の役割
顔料は、
- 色をつける
- 下地を隠す
役割があります。
代表的な顔料
- 白:チタン白
- 赤:パーマネントレッド
- 黒:カーボンブラック
- 銀:アルミペースト
樹脂の役割
樹脂は、
**塗料の「骨格」**のような存在です。
- どれくらい長持ちするか
- どれくらい密着するか
を決める、非常に重要な成分です。
代表的な樹脂と特性
- アクリル樹脂:耐候性がよく変色しにくい
- ウレタン樹脂:付着性が高く衝撃に強い
- エポキシ樹脂:密着性が非常に高いが紫外線に弱い
- フッ素樹脂:耐候性が非常に高い
添加剤の役割
添加剤は、
塗料を使いやすく・安定させる脇役です。
- 乾燥を助ける
- 泡を消す
- カビを防ぐ
量は少なくても、品質を左右します。
塗り始める前に知っておきたい基礎知識
油性塗料と水性塗料
以前は油性が主流でしたが、
現在は水性塗料が多く使われています。
水性塗料の特徴
- 臭いが少ない
- 引火性がない
- 乾燥後は水に溶けない
安全性が高く、一般住宅向きです。
スプレー式塗料の扱い方
スプレー塗料は便利ですが、
使い方を間違えると失敗しやすいです。
- 対象から約30cm離す
- 同じ場所に吹き続けない
- 使用前は30秒以上よく振る
火気厳禁なのも忘れてはいけません。
塗料選びで一番多い失敗
塗料を選ぶときは、
必ず用途を確認してください。
用途を間違えると、
- 乾かない
- すぐ剥がれる
という結果になり、二度手間になります。
塗料を使い始めるときの基本
塗料は、
使う前の撹拌(かくはん)が非常に重要です。
- 容器を逆さにして振る
- 開封後、底からしっかり混ぜる
粘りが強い場合は、
5〜10%程度うすめると塗りやすくなります。
うすめ液とは何か
- 水性塗料 → 水
- ラッカー系 → ラッカーうすめ液
- 油性塗料 → ペイントうすめ液
道具の洗浄にも使えるため、
正しいものを用意してください。
残った塗料の正しい保存方法
水性塗料
- しっかり密閉
- 水を加えたものは保存不可
- 保存目安:約6か月
油性塗料
- 空気に触れると皮張りが起きる
- できるだけ早く使い切る
最後に|知っているだけで失敗は減ります
塗装は、
「知っているか知らないか」で結果が大きく変わる仕事です。
ご自身で塗る場合も、
業者に任せる場合も、
基本を知っておくことが一番の防御になります。
少しでも
「なるほど」
と思っていただけたなら、嬉しく思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



